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タンパク質膜局在量を定量する新技術でゲノム医療を実現

山口大学 大学院医学系研究科 助教 富永 直臣 研究者の紹介 >

◆膜タンパク質の野生型と変異型の膜局在量の変化を定量的に評価するシステムの構築を行い、ゲノム情報に基づく疾患診断、個別化医療(オーダーメイド医療)への応用を目指す。

 

 

技術の概要

膜タンパク質の機能異常や異常な局在は自閉症スペクトラム障害、統合失調症などの非常に多くの疾患の病態に深くかかわっています。そのため病態の理解と治療法の開発のためには、細胞における膜タンパク質の局在情報が重要です。しかし、従来の膜タンパク質の膜局在量を定量する方法では、膜タンパク質ごとに検出するための抗体を調製する必要があり、1つの抗体で複数の膜タンパク質の細胞膜での局在状態を評価できる方法はありませんでした。
本研究では、独自の発現ベクターを用いて、膜タンパク質の、野生型と変異型の膜局在量の変化を定量的に評価するシステムの構築を行っています。

 

 

本発明で開発したICLiQ配列を用いることで、膜たんぱく質によらないラベリングが可能になる。

 

技術の特徴

本技術は独自に開発したタンパク質の発現ベクターを用いた、膜タンパク質の、野生型と変異型の膜局在量の変化を、定量的に評価するシステム(ICLiQ法:TypeⅠ – Cell membrane protein Localization Quantitative method)です。
従来の膜タンパク質の膜局在量の定量法において課題であった、標的膜タンパク質ごとに抗体を用意する必要がなく、複数の膜タンパク質を一括で評価することに成功しています。

 

技術の優位性

ICLiQ法により、以下の優位性が期待されます。

① 複数の膜タンパク質に対してICLiQ法を用いたラベリングが可能です。
② 従来の抗膜タンパク質抗体では定量困難な膜タンパク質(例:細胞外ドメインの短い膜タンパク質)でも定量可能です。
③ 将来的にはゲノム情報に基づく疾患診断、個別化医療(オーダーメイド医療)の診断から治療までを両立につながる事が期待されます。

 

関連特許

特許出願中

 

関連論文

1. 4-Phenylbutyrate restores localization and membrane repair to human dysferlin mutations: iScience (cell.com)

 

外部資金事業 (一部記載)

1. 2022年9月-2026年3月 国立研究開発法人科学技術振興機構 (JSPS) 戦略的創造研究推進事業(ACT-X)「生命現象と機能性物質」領域
「ゲノム情報と創薬をつなぐ局在評価法の構築」