現状・課題
脳卒中や糖尿病性末梢神経障害など、神経疾患を抱える患者は世界で30億人以上にのぼり、1990年以降の30年間でその数は約20%増加しています。近年、神経障害患者に対する医療技術は急速に進歩し、死亡率の大幅な低下が見られるものの、依然として多くの患者が治療を必要としています。国内における神経疾患患者数は、脳血管障害(約170万人)、脊髄疾患(約150万人)、末梢神経障害(約150万人)、その他(約30万人)を含め、全人口の約5%に相当すると推定されています。
従来の臨床現場で用いられている評価手法には、徒手筋力検査や誘発筋電図検査が挙げられますが、これらの手法では神経回復に伴う微小かつ経時的な変化を客観的・定量的に評価することが困難です。
研究開発概要
神経疾患の患者および医療従事者が、神経回復治療の効果を精確に「見える化」できる「評価機器と解析アプリケーション」を医療機器として開発することを目指します。
具体的には、小型加速度センサと圧力センサを併用して、神経疾患に伴う筋力や動作の微細な変化を定量的に検知することで、これまで主観的にしか捉えられなかった治療効果を、客観的かつ定量的に可視化し、患者に対してより適切な治療を提供できるシステムを開発します。

