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RNAワクチンを含む核酸医薬実用化のための高度な核酸製造技術

山口大学大学院創成科学研究科(工学系)
ライフサイエンス分野 教授 赤田 倫治 研究者の紹介 >

◆PCRによる大容量DNA合成技術です。
 事業化に向けて低コスト化、品質管理、安定供給体制の確立を進めています。

 

 

技術の概要

新型コロナウィルス感染症の蔓延に伴い、これまでは用いられていなかったRNAワクチンとウイルスベクターワクチンが世界中で接種されています。これら核酸(DNA/RNA)医薬の有効性が実証されたことから、世界中で核酸医薬開発が加速しており、新たなDNA製造法が求められています。

今回示すのは、ポリメラーゼ連鎖反応 (PCR)による新たな大容量DNA合成技術です。

 

 

 

 

技術の特徴

本技術は、これまで難しかった大容量でのPCRによりDNAが製造できる技術です。食品機械メーカーヤナギヤとの共同研究を通じて、ペルチェ素子を活用したPCR装置を開発することで、最大200 mL(通常のPCRの1万倍)の大容量PCRに成功しています。これは、新たなDNA製造法が準備できたことを意味しており、核酸医薬製造に貢献できる技術だと考えています。

 

 

技術の優位性

これまで、DNAは大腸菌でのプラスミドDNAとして生産されてきました。しかし、大腸菌からの製造には設備、コストと時間がかかります。本技術は、これまでの1万倍スケールのPCR反応により数時間で100 mgのDNAが製造できます。この量は,大腸菌を100 L以上培養し、数週間かけて取得できる量です。さらに、酵素反応だけでDNAを製造できるので、できたDNAは不純物を含まず、幅広い用途への応用が期待されます。

 

 

関連特許

1. 核酸の増幅方法及びサーマルサイクラー(PCT出願FR02-029WO)
2. サーマルサイクラー(特許第6858368号)
3. ポリペプチド抽出方法(特許第6778867号)
4. タグペプチド及びポリペプチドの精製方法(特願2020-026375)

 

外部資金事業 (一部記載)

1. やまぐち地域中小企業育成事業
 2015年度「温度制御性のよい大容量サーマルサイクラーの開発」
 →大容量PCRの問題点把握
2. やまぐち地域中小企業育成事業
 2016年度「量産用PCR装置の商品開発」
 →サンドイッチ型PCR装置の開発と特許出願
3. 新産業創出研究会助成
 2018年度「工業レベルのDNA合成を可能にする大容量サーマルサイクラーの開発」
 →大型化へ
4. やまぐち産業イノベーション促進補助金
 2018年11月~2021年3月「ヒト用高純度DNAワクチン実用化時代に向けた大容量PCR技術・装置の確立」
 →大型化された100 mLレベルのPCR装置の成功と特許出願